2007年10月22日
天木直人による書評(私家版ユダヤ文化論)
「天木直人のブログ」危機感をもって日本外交を糾(ただ)す元外務官僚天木直人さんのブログ。その直言居士な振る舞いに潔さを感じ好感。その天木さんが私家版ユダヤ文化論で「あの問題」に全く触れていないことを指弾している。果たしてそのことが本書の内容を損ねることになるだろうか。
僕にはユダヤ文化の実相をその記載のみにあえてとどめている内容だからこそわかりやすかった。そしてユダヤ人を絶賛しているようにも見えなかった。確かにパレスチナ問題におけるイスラエルの振る舞いは、諍いの繰り返しが重層した悲劇的な状況。でもユダヤ的文化というよりは単純な民族紛争の結末に感じられる。個人的にはそれがユダヤ的なのかどうか知りたい気がするが。ユダヤ文化的なるものの中東や米国におけるポジショニングも気になる。権力をもったものの振る舞いなのかユダヤ文化的必然なのか。
071123改稿
(以下引用)内田樹(たつる)という仏文学者がいる。(中略)特段のイデオロギーに偏することなく、保守系でもありリベラル的でもあり、賛同できる意見があり、賛同できないところがあり、そういう意味で、私は彼の脱イデオロギー的な言論については関心を持って読んで来た。
(中略)
私がユダヤ人に関心を持ったのは最近の事である。(中略)毎日のようにイスラエルのレバノン・パレスチナに対する暴挙を目撃したからだ。これほどレバノン・パレスチナ人を苦しめるイスラエルという国、その国を支えるユダヤ人、それは一体どういう存在なのかと毎日考えながら暮らしたからである。
(中略)内田の本を読んで驚いた。100%ユダヤ絶賛の本だ。(中略)この本は一言で言えば、世にあるユダヤ人に対する偏見や反感はまったく根拠のないものであり、反ユダヤ主義は殆ど病気であると言うものだ。(中略)しかし内田はなぜ今日の最大の国際問題であるイスラエルのパレスチナ弾圧政策について一言も言及しなかったのか。(中略)私はパレスチナ人をここまで虐待し続けるユダヤ政府が許せない。(中略)今日の反イスラエル感情は内田が言う様な「根拠のない反ユダヤ主義」などではない。(中略)イスラエル政府の暴力とパレスチナ人弾圧・虐殺。いくら私家版といえども、今日のユダヤ論を語る時、目の前で繰る広げられているこの問題に一言も触れない事は、許されない事だと私は思う。
(引用終了)
071123改稿
Posted by ivanisevic at 01:02│Comments(0)
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